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頭脳のエンジンキーを「やさしく」手に入れる方法-渡辺健介『世界一やさしい問題解決の授業』

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく

「頭が良い人」への憧れというのは、なかなかどうして、避けがたい。しかしそういう頭の良い人というのは、大量の勉強を積み上げてきており、さらに努力では抜かしようがない遺伝的な要素(いわゆる"地頭")ももっている。では、私たちは、彼らに羨望の眼差しを送り続けることしかできないのだろうか?

いや、彼らを追い抜くまではいかなくとも、より近づいていくことはそれほど難しいことではないのだ。

ほとんどの人の頭の働き方は、およそ似たような道をたどっている。凡人が頭脳派に劣ると思われるのは、その「働き方」をよく知らず、それを上手く使いこなすことができていないからだ。

「頭の働き方」を整理し、それを日常の中で使っていくことで、あなたの思考は徐々に最適化されていくだろう。その方法を非常にやさしく解説しているのが、『世界一やさしい問題解決の授業』だ。

新しくはない、だがそれがいい

この本の内容は、一度問題解決手法を学んだことのある人にとっては当たり前のことばかりだ。だからAmazonのレビューなどを見ると、「役に立たない」という意見もそこそこ見かける。

しかし、その「役に立たない」本書はベストセラーとして書店で存在感を示してきた。なぜか?

実際、問題解決手法について学んだことのある人など一握りもいないのが現実だ。その一方で、こうした手法はビジネスサイドなどで頻繁に使われるため、大きな需要が認められる。それゆえ勉強を始めざるを得ない人も多くいるのだが、いきなりバーバラ・ミントの『考える技術・書く技術』、その分厚い本を読もうなどと考える人は少ない。というか、必要に迫られて勉強する人は、そこまで積極的に大変そうな道を進みたがったりしないものだ。

そこでこの本だ。どんな参考書にも書いてある基本中の基本を、「青少年向け」の親切な解説を通して学ぶことができる。初めての人が読むための本だ。手法の新しさなど不要、基本を丁寧に教えてくれるからこそ、この本は良いのだ。

堅苦しい教科書風ではない、「読みやすい本」で勉強を始めたい、そんな人たちがこぞって手に取る本である。

最小限のツールに絞ったからできた丁寧な解説

本書では「分解の木」「課題分析シート」など、全部で6つの思考ツールが紹介されている。

「思考ツール」と聞くと、「たくさん訓練しないと使いこなせないもの」という印象があるかもしれないが、次の2つの事実が、その印象は気のせいであるということを教えてくれる。

まず、本書の解説の平易さだ。ストーリー仕立てで具体的な例とともにツールの使い方を学んでいく本書のやり方は、本格的な問題解決の教科書を苦労して読むよりも短時間のうちにあなたをツールに習熟させてくれることだろう。

そして、ツールを使うとき、その大変さを大きく肩代わりしてくれる道具を、あなたはすぐに手に入れることができるはずだ。それもそのはず、必要なものは「紙とペン」。問題を1枚の紙の上に閉じ込めてしまえば、あなたは無用な労力を使わずに済むし、その紙を眺めることでより多くのインスピレーションを得ることだってできるはずだ。

問題解決を初めて学ぶ人は最初に読むべき本

専門用語を可能な限り使わず、なおかつ親しみやすいストーリー形式で問題解決の基礎を教えてくれるこの本は、これから問題解決手法を学び始めようという人が1冊目として手にとって欲しい本だ。

解説がやさしく、不要な網羅性をもたず、しかし実生活に役立てることを前提としたその内容が、「1冊目」であることへのふさわしさを強めている。

ただ、ここまでかなり褒め倒してしまったが、当然至らない点もちらほら目に映る。また、内容が非常に基礎的であることや、ストーリー形式であることは、読む人によってはこの本の悪いところだと感じるだろう。それと、わりとどうでもいい欠点だが、本の規格が単行本や新書のそれとは少し異なる。新書版だったらもう少し値段が安かったのだろうか…。

まとめ

私自身、辛口な書評に飽き気味だったので、やや褒め過ぎなくらいにこの本を評してしまった。だが、読者のもつ需要と合えば、褒めただけの価値がこの本にはあると思う。私はこのような「誰かの世界を変化させ始める本」が大好物なので。

もちろん強制するつもりはないが、とりあえず買って読んでみたい人は下のリンクからAmazonで購入することができる。